飲食店開業資金はどこから借りる?二つの公的融資ルート
飲食店を開業する際、資金調達でまず検討したいのが、日本政策金融公庫の創業融資と大阪府制度融資です。
どちらも創業期を支える公的な融資の仕組みですが、借入先、申込みの流れ、関わる機関には違いがあります。
日本政策金融公庫は公庫から直接借りる方法、大阪府制度融資は取扱金融機関から借りる方法です。
大阪信用保証協会の役割も含め、それぞれの仕組みを分かりやすく整理します。
融資を受けることだけを目的にせず、開業後も返済を続けられる資金計画をつくりましょう。
・日本政策金融公庫と大阪府制度融資は、どこからどのように借りるのか
・「新規開業・スタートアップ支援資金」と「開業・スタートアップ応援資金(開業資金)」の違い
・大阪信用保証協会は、融資にどのように関わるのか
・設備資金と運転資金には、何を含めて考えるべきか
・融資を受けた後も返済を続けられる、無理のない資金計画のつくり方
飲食店開業で検討する二つの公的融資ルート
飲食店開業で必要となる資金は、自己資金だけでまかなえるとは限りません。
物件取得費、内装工事費、厨房機器費、看板、ホームページ、オープン時の販促費、仕入れ、家賃、人件費など、開業前から多くのお金が必要になります。
大阪で飲食店を開業する場合、主に検討する公的な融資ルートは次の二つです。
・日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
・大阪府制度融資「開業・スタートアップ応援資金(開業資金)」
まず大切なのは、「どこからお金を借りるのか」を正しく理解することです。
| 比較項目 | 日本政策金融公庫 | 大阪府制度融資 |
| 主な制度 | 新規開業・スタートアップ支援資金 | 開業・スタートアップ応援資金(開業資金) |
| お金を借りる先 | 日本政策金融公庫 | 取扱金融機関 |
| 主な関係機関 | 日本政策金融公庫 | 大阪府・取扱金融機関・大阪信用保証協会 |
| 融資の仕組み | 公庫が直接融資する | 金融機関が融資し、大阪信用保証協会が保証する |
| 主な対象 | 新たに事業を始める方、開業後まもない方 | 大阪府内で開業する方、開業後5年未満の方 |
| 資金使途 | 設備資金・運転資金 | 開業に必要な事業資金 |
| 融資限度額 | 7,200万円 | 3,500万円 |
| 返済・保証期間 | 設備資金20年以内、運転資金10年以内 | 保証期間10年以内 |
| 申込み先 | 日本政策金融公庫 | 取扱金融機関、大阪信用保証協会など制度上の受付窓口 |
※制度情報確認日:2026年7月4日
※制度内容、融資限度額、返済期間、貸付利率、信用保証料率、利用条件等は変更される場合があります。申込み前に、必ず日本政策金融公庫、大阪府、大阪信用保証協会、取扱金融機関の公式情報をご確認ください。
大阪信用保証協会は、飲食店に直接お金を貸す機関ではありません。
金融機関から融資を受ける際に、公的な保証人として関わる機関です。
日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」とは
日本政策金融公庫は、国が出資する政策金融機関です。
飲食店をこれから開業する方や、開業後まもない方が創業資金を借りる際に、代表的な選択肢となります。
この制度の大きな特徴は、日本政策金融公庫に直接申し込み、直接融資を受ける点です。
銀行や信用金庫を通さず、日本政策金融公庫が事業計画や資金計画を確認し、融資の判断を行います。
飲食店開業では、次のような費用を設備資金・運転資金として整理します。
制度の主な内容
・資金使途:設備資金・運転資金
・融資限度額:7,200万円
・返済期間:設備資金20年以内、運転資金10年以内
・据置期間:設備資金・運転資金ともに5年以内
・担保・保証人:希望を伺いながら個別に相談
※制度情報確認日:2026年6月28日
※制度内容、融資限度額、返済期間、利率、据置期間、担保・保証人の取扱い等は変更される場合があります。申込み前に、必ず日本政策金融公庫の公式情報をご確認ください。
・内装工事費、設備工事費
・厨房機器、冷蔵庫、製氷機、食器、家具、レジ設備
・看板、店頭販促物、ホームページ、写真撮影、広告費
・オープン時の食材仕入れ、消耗品費
・開業後の家賃、人件費、水道光熱費、仕入れなどの運転資金
融資で重視されるのは、希望する金額だけではありません。
「なぜこの店を開業するのか」「どのようなお客様に選ばれるのか」「毎月の返済を続けられる売上を見込めるのか」といった、事業計画の中身が確認されます。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、設備資金と運転資金の両方を検討できます。
ただし、融資限度額まで借りることを目標にするのではなく、開業後の返済負担に耐えられる適正な借入額を考えることが重要です。
大阪府制度融資「開業・スタートアップ応援資金(開業資金)」とは
大阪府制度融資とは、大阪府が中小企業や創業者の資金調達を支援するために設けている融資制度です。
ただし、大阪府が直接お金を貸すわけではありません。取扱金融機関が融資を行い、その融資に大阪信用保証協会の保証を付けることで、創業者が資金を借りやすくする仕組みです。
開業・スタートアップ応援資金(開業資金)は、これから大阪府内で事業を始める方、または開業後5年未満の方を主な対象としています。飲食店開業では、物件取得費、内装工事費、厨房機器費、開業準備費、開業後の運転資金などを含めて、必要資金を整理します。
この制度を検討する際は、次の点を確認する必要があります。
・自己資金をどの程度準備できているか
・取扱金融機関で相談できるか
・大阪信用保証協会の保証を利用できるか
・開業後の返済を続けられる売上計画になっているか
制度の主な内容
・資金使途:開業に必要な事業資金
・融資限度額:3,500万円
・保証期間:10年以内
・貸付利率:年1.65%
・信用保証料率:年1.00% ※無保証人対応の場合は年1.20%
・申込受付窓口:取扱金融機関、大阪信用保証協会、その他制度上の受付窓口
※制度情報確認日:2026年7月4日
※制度内容、融資限度額、保証期間、貸付利率、信用保証料率、自己資金要件、利用条件等は変更される場合があります。申込み前に、必ず大阪府、大阪信用保証協会、取扱金融機関の公式情報をご確認ください。
自己資金について
事業開始前、または事業開始後2か月未満で申込みを行う場合は、原則として創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要です。たとえば、開業資金総額が1,000万円の場合、原則として100万円以上の自己資金が必要になる考え方です。
ただし、実際の審査では、自己資金の金額だけでなく、どのように準備した資金なのか、開業費用の配分が適切か、開業後に返済できる売上を見込めるかなども確認されます。
経営者保証について
これから会社を設立する方、または設立後5年未満の会社については、条件を満たす場合に経営者保証を不要とする取扱いが可能です。ただし、対象条件や手続きは個別に確認が必要です。
大阪信用保証協会の保証付き融資の流れ
融資を行うのは取扱金融機関、保証を行うのは大阪信用保証協会です。
大阪府制度融資では、大阪信用保証協会が直接お金を貸すわけではありません。取扱金融機関が融資を行い、大阪信用保証協会がその融資に保証を付けることで、創業者の資金調達を支える仕組みです。
大阪信用保証協会は、大阪の中小企業者や創業予定者の公的な保証人として、金融機関からの円滑な資金調達を支援しています。保証付き融資は、一般的に次の流れで進みます。
1.融資・信用保証の申込み
開業予定者が、取扱金融機関などの受付窓口へ相談し、融資と信用保証の申込みを行います。
飲食店開業の場合は、開業する理由、物件、内装工事、厨房機器、自己資金、必要資金、売上計画、返済計画などを整理したうえで申込みを進めます。
2.取扱金融機関から大阪信用保証協会へ保証依頼
取扱金融機関が融資を検討し、保証付き融資として進める場合、大阪信用保証協会へ保証を依頼します。
金融機関は融資を行う側、大阪信用保証協会は保証を行う側として、それぞれの役割を担います。
3.大阪信用保証協会による審査
大阪信用保証協会が、事業内容、資金使途、事業計画、返済能力などを確認し、信用保証に関する審査を行います。
必要に応じて、担当者から開業計画や事業内容について確認される場合があります。大阪信用保証協会は、事業内容、資金使途、事業計画、返済能力などを総合的に確認すると案内しています。
4.保証承諾後、取扱金融機関が融資を実行
大阪信用保証協会が保証を承諾した後、取扱金融機関が融資を実行します。
大阪信用保証協会から直接お金を借りるのではなく、大阪信用保証協会の保証を活用して、取扱金融機関から借りる仕組みだと理解しておきましょう。
なお、保証付き融資であっても、借入金の返済義務がなくなるわけではありません。開業後の家賃、人件費、仕入れ、水道光熱費などを支払いながら返済を続けられるよう、無理のない借入額と売上計画をつくることが大切です。
二つの公的融資ルートは、何で選ぶのか
日本政策金融公庫と大阪府制度融資のどちらが向いているかは、単純に金利だけでは決まりません。
判断する際には、次の点を総合的に整理します。
・開業予定時期はいつか
・自己資金はいくらあるか
・物件、内装、厨房機器の見積りはそろっているか
・開業に必要な資金総額はいくらか
・毎月いくら返済する計画になるか
・返済後にも運転資金を残せるか
・売上計画に根拠があるか
・開業後に新規客を増やす準備ができているか
借りられる制度を探す前に、まず必要資金と返済できる売上を整理することが先です。
融資の前に、開業資金を一つ残らず洗い出す
飲食店開業では、内装工事費や厨房機器費だけを考えていると、開業後すぐに資金繰りが苦しくなる場合があります。必要資金は、大きく次の二つに分けて考えます。
設備資金
開業前に一度に必要となる資金です。
・内装工事費
・厨房機器費
・空調、電気、ガス、水道などの設備工事費
・看板、外観、店頭メニュー、のぼり
・テーブル、椅子、食器、レジ、POSレジ
・ホームページ、Googleマップ整備、写真撮影
・開業時の販促費
運転資金
オープン後、売上が安定するまでに必要となる資金です。
・人件費
・食材、ドリンク、消耗品の仕入れ
・水道光熱費
・販促費、広告費
・決済手数料
・通信費、会計費用、雑費
・借入金の返済
飲食店では、オープン直後から十分な売上が続くとは限りません。
そのため、設備資金だけではなく、開業後の運転資金を確保した資金計画が必要です。
融資を受けることがゴールではありません
融資を受けることは、飲食店開業のスタート地点です。
本当に大切なのは、開業後も家賃、人件費、仕入れ、水道光熱費、借入金の返済を続けられる店をつくることです。
飲食店開業資金ナビでは、単に「いくら借りられるか」を考えるのではなく、次の内容まで一つの開業計画として整理します。
・返済を含めて、いくらの売上が必要か
・毎日何人のお客様に来ていただく必要があるか
・その新規客を、どのように増やすのか
・一度来店したお客様に、どう再来店していただくのか
・売上が安定するまで、どれだけの運転資金を残すべきか
融資のためだけに事業計画をつくるのではありません。
開業後も返済を続けながら、集客で苦しまない店をつくるための開業計画を考えることが大切です。
公的融資の違いを整理した後に進めること
公的融資の仕組みを理解したら、次は「開業にいくら必要なのか」を具体的に整理する段階です。
物件取得費、内装工事費、厨房機器費、看板、ホームページ、販促費、運転資金まで洗い出し、自己資金と借入金のバランスを考えます。
※制度情報確認日:2026年7月4日
※融資条件、利率、保証料、返済期間、自己資金要件、申込み手続き等は変更される場合があります。申込み前に、日本政策金融公庫、大阪府、取扱金融機関、大阪信用保証協会の公式情報をご確認ください。